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■さかのぼって読む
■2000年2月の個展

























オマケつき!












20.個展をおえてFeb.23,2000
先週、個展がおわった。(来てくださった方、どうもありがとうございました)こういうことは当たり前だが、やってみないとわからない。何かが見えてくれば、という思いで決意したことだった。数日たってみて、だんだんと見えてきたことがある。自分が表現したいこと、大切なこと、足りないこと。いい勉強になったなー。(それにしてもこのHPで見てくれていた人の多くは、もっと小ぶりの作品だと思っていたらしい。質感も画面ではなかなかわかりにくいし)
---てなわけで、現在、次の個展を検討中。次回はもっとパワーアップじゃー。Photo>>

19.うるさい?Jan.23,2000
たまに通りかかるおばちゃんに「がんばるわねえ、でも孤独な作業よねえ」といわれた。あえてそんなこと言われると急にさびしくなっちゃうじゃんかよー、とか思いつつ、ふと考えた。よく作品との対話とかいうけれど、それも意外と厄介なもので、こっちがしゃべりすぎるとただの独り言になってしまってろくな結果にならない。一方的すぎて過保護な作品になるというかなんというか、、、。ぼそっと尋ねて、作品からぼそっと答えが返ってくる、そんな小津的対話が理想だと思うのだけど結構むずかしい。「ここはこうしたほうがいいんじゃないかしら、あ、あそこはあーでこーでそれでもって……」とかなんとかブツブツブツブツ考えているときにはちょっと気分転換したほうがいい。そう思ってドアを開けて外に出たら、すぐ目の前の道路になぜか"マスク"が落ちていた。奇妙な落としもの。作品に「もうちっと黙ってろ」と言われたようだった。

18.砂の産地とブランド?Jan.8,2000
なぜかいつもとは違う砂が2袋、セメントと一緒にアトリエに届いた。今まで砂についてはセメントに混ぜるだけのもので、あまり頓着していなかったのだけど、使ってみるとどうも今までのより泥臭い。田んぼの中で制作しているような気分だ。近くには牛もいそうな雰囲気だ。袋をよく見ると、「川砂」と書いてあった。もちろん硬化、乾燥すればそんな泥臭さはすっかり消えるのだけど、何となくその違いに驚きを感じて、次に店に行ったついでにオヤジに聞いてみた。すると、砂は砂でも何種類かメーカーがあって、もちろん天然なんだけど、産地の違いもあったりして、頑固な職人さんは「どこそこの砂でないとダメだ」という人もいるそうだ。店のオヤジは私が砂を注文したときに強度的なことについてなんやかんや質問をしたので、その話からフォルムなどを考慮してあえてその泥臭い砂を届けることにしたらしい。これは「私におすすめの砂」なんだといわれた。たかが砂。されど砂。ちょうどその日、どっかのニュースで"公園用に抗菌砂が新発売された"などというたわけた話を聞いた。それを知って、私は急にこの泥臭い砂に愛着を感じるようになった。(まー、セメント用のはきっと大差はないと思うけどね。)

17.アセトンのゆくえDec.18,1999
以前から謎だったことだけど、使ったアセトンはどう処理すればいいのだろう。自分で責任を持たなければならなくなったので、ごみ(廃棄物)の問題は結構深刻だったりする。FRPでどろどろになった筆を洗ったりしているうちに量も増えてくるし…。それで塗料屋に行ったとき、ここならなじみの塗装職人も多いだろうと思ってついでに聞いてみた。しかし店のオヤジは「う〜〜〜〜〜ん……?」と鈍い反応。しばらく考え込んで「ある程度固まっていりゃーなー、うちで1屯缶につめた産業廃棄物は回収してるからそこに詰めてくれりゃーいいんだけどな。1屯缶にだったら何つめてもいいから」と胸をはっていった。「え…、何でも?」「ああ!何でも!」。キケンなもの、いけないもの、おそろしいもの、なんでもいいらしい。あれこれ妄想がふくらんでだんだん怖くなってしまった。都内は10月あたりからごみの分別が厳しくなって、みんな神経を使うようになったみたいだけれど、処理するまで道のりで最終段階に近くなればなるほどアバウトになるのではないか、キケンなものほどあやふやに処理しているのではないか、と思ってしまった。

16.おばちゃんと にがうりOct.28,1999
ある日、アトリエで作業しているとおばちゃんが「ふふっ」とうれしそうな顔をしながら部屋をのぞき込んできた。おばちゃんとは大家さんのことで、近所に住んでいて、風景画、ボタニカルアート、押し花、革細工とかなり好奇心おう盛な人だ。私の作品の進み具合を見に来たのかなと思ったら、「ほら、これ。」と両手を広げて見せた。3本のにがうりが手にのっていた。「これ、そこ歩いてたら見つけてな、すぐそこの家だ。こりゃ絵を描くのにいいモチーフだわって思って、とってきちまったよ」。青くてちょうど出荷前といった感じのと、もう一歩手前で栄養失調のやつと、あと一本はシワシワ〜のおジジうり。この辺ではあまり見かけないものだけど、家庭菜園というやつだろう。道路沿いにはみ出ていたのかはしらないが、落ちていたものではなかったことは容易に見て取れた。いっしょににがうりをしげしげと見る。「このデコボコをどーやって描くかがむずかしそーだわー」「んーデコボコがうまく出ないと変なキュウリになっちゃいますもんねー」わたしはなんだか妙におかしかった。去り際、おばちゃんはいったんきょろきょろと辺りを見回してから、ささっとデニム地のエプロンの前ポケットにしまい込んだ。3本ともはみ出している。「こりゃ、おとうちゃんにしかられちまうかな、"ま〜た変なもん家ん中にもちこんでっ"って。」そして、てへへ、と笑って帰っていった。--その人を象徴するような、印象的なシーンというのがある。そういう場面に出くわすと、なんだか嬉しいというか、得をしたような気になる。秋の、平和な一日だった。

15.image noteについてOct.7,1999
今年になってimage noteが5冊目に入った。image noteとは、つまり「わたしのらくがき帳」で、緻密に描いたものは全くなく、なんとなく思いついたフォルム、ただただペンが動くままに無責任に描いたもの、気になった言葉、ベリーショートストーリー、単なるダジャレとさまざまだ。このなかから実際に作品として完成させるのはごくごくわずかだけど、エッセンスにはなっているわけで、このノートが私の身近なところに置かれていないとなんだか落ちつかない。もしも突然地震とか火事におそわれたら、食べ物とかお金とかパンツよりも、非常事態にこれっぽちも役に立たないこのノートを抱えて避難するのではないか、というほど大事にしている。 気取ったり、考えすぎないで書いているせいか、自分でもナゾのデッサン、ナゾの言葉が多く、これらが無意識のうちに細胞分裂を起こし、自己増殖してくれないかなーと願っている。

14.ちぇ、またかAug.21,1999
先日、とあるイベント企画会社からメールが届いた。秋に予定しているイベントに作品を展示させてほしいという嬉しい内容だった。こういうふうにホームページを作っていて良かったなと思えるような面白い話はたまにあるのだけれど、だいたい「企画段階」ということでうやむやになってしまうのだ。で、音沙汰なし。むうう、これもボツかっ。特にジャンクアートは廃材ということで、相手によっては、材料費タダ=全てがタダ、でもってさらに「もともと廃材だし」という意識からくる扱いをする。そのへんで両者に大きな誤差が生じるのだ。別にエラソーな態度をとるつもりはないけど、あたしゃそんなにボランティア精神に満ちあふれた人間ではない。ふんだ。

13.制作日記2Jul.21,1999
アトリエでの制作をはじめて1ヶ月が経過。今回のシリーズはセメントで作品を造るぞ!ときめ、左官屋さわこ、汗をダラダラ流しながらの肉体労働が続く。決して広いわけでもないし、エアコンがあるわけでもない(とても暑い)。家から持参のぬるいウーロン茶で喉を潤し、バケツに汲み置きした水で(水道が離れている)セメントを練り、道具を洗い、手も洗う。芯材に使う木材はビルの解体現場から、物欲しげな顔をしてじりじり近づき、いただく(やったータダだ!)。欲を言えばキリがないほど欲しいモノはあるけれど、この不自由さがなんだか嬉しいのだ。人間、ちょっと不便なくらいのほうが工夫もするしなによりも"リアリティ"があって、充実感とか幸福感とか感じやすいように思う。特にコンビニエンスな時代に育ったわたしはそう思うのかもしれない。ま、もちろん最高最適の環境には憧れるけど。あれ、矛盾してる?

12.ここは工作教室じゃない!Jun.30,1999
来年2月の個展(青山)に向け、住宅街の一角に駐車場のような狭い場所をとりあえずのアトリエとして確保。さんざん探し回ったので、都内にアトリエを設けることの苦労をしみじみ痛感した。ともあれ、これでやっと大きなものもガンガン作れるぞ! とはりきったのもつかの間、思わぬ邪魔が出現した。それは遊び場がなくて暇がある小学生のガキどもだった。粘土をこねている姿が物珍しいのか、私がいくら気むずかしくて神経質で人を寄せつけない雰囲気を演じて見せても近寄り、ちょろちょろわーわーうるさいのなんのって。勇気を出して「邪魔だから出てって!」といっても反省するのはほんの30分くらい。完璧にナメられている。あげくに夜になって「親が帰ってなくて鍵ももっていないから、ここにいていい?」と言い出すときた。うああ。じゃじゃじゃ、じゃまなんだよ〜っ!!
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